ALOHA ケン・ノブヨシです。
今日のオーダーはこちら。
- つまみ:ガーリップシュリンプ(cooking)
- ビール:コナブリューイング「ロングボード」
- コラム:パリハイウェイの言い伝え
- 相伴本:『東西不思議物語』澁澤龍彦
それでは、ゆっくりとハワイアンタイムをおすごしください。
ガーリックシュリンプ(cooking)
ハワイの人気ローカルフード、ガーリックシュリンプ。ハワイを訪れる人は必ず一度は口にするであろう人気ローカルフードである。
1970年代後半からオアフ島北部カフクで始まったエビの養殖は、ガーリックシュリンプをハワイきってのローカルフードにまで高めた。今では多くのお店がしのぎを削り、多くのロコと観光客を魅了してしいる。
家庭でも簡単に作れてしまうので、ぜひチャレンジしてみて欲しいつまみの一つだ。
作り方はまず、エビの頭・背ワタをとり、片栗粉、塩、水でよく揉み、洗い流して水気をよくふき取るといいらしい。
オリーブオイルにニンニク、塩、胡椒、白ワインを加えて30分ほど漬け込む。
30分以上たったらフライパンで焼くだけ(中火)で完成。とても簡単。
コナブリューイング「ロングボード」
ガーリックシュリンプと合わせるのは、コナブリューイングのロングボード。
- スタイル:ラガー
- ABV(度数):ABV4.6%
- IBU(苦味値):20
(数値はKONA BREWING HPより)
ハワイ島コナを本拠地とするコナブリューイングカンパニーは豊富なラインナップで、多くの人々を魅了し続けるハワイで最も有名なbrewerである。
このロングボードはとりわけ定番中の定番であり、癖もなく飲みやすいため、最も手に取る人が多いのではないだろうか。
今回はこのビールをガーリックシュリンプに合わせてみたい。
最高のひととき
それでは食材に感謝しつつ、いただきます。
ガーリックシュリンプは殻ごと食べるのが基本だそうだ。カフクの名店ジョバンニでそう教えてもらった。
しかしウチでは冷凍のエビを普通に焼いているだけなので、とてもじゃないがあのパリッと感は出せない。
なので自作の時は殻をむいて食べる。「殻に味がついてるのに!」と思わぬでもないが、その対策として少々濃いめに味付けをしている。
まずやってくるガーリックの香り。エビの旨味と強めの塩分がガツンと来る。そこにロングボードを喉に流し込む。エンドレスループ。
ロングボードはとても口当たりがよい。特に最初の一口目のキレがよい。そして飲み進めていくとキレは影を潜め、今度は苦味がやってくる。
最初はガーリックの香りに食欲を刺激され「あー!もう我慢できない!」という勢いで一口目のキレととともに夢中で頬張る。うますぎる!
そして苦味がやってくる頃には、最初の勢いも落ち着きじっくり味わって食べる。
そんな食べ方ができるので、この組み合わせが私は大好きだ。ハワイの名物タッグと言っていいであろう。
【ハワイコラム】パリハイウェイの言い伝え
~ここからは、ハワイにまつわるコラムになります~
ある日の晩、カイルアで友人との楽しいディナーを終え、家路へと深夜のパリ・ハイウェイ急ぎ走っていた時のこと。
突然、車が「ガッ」と何かに当たったかのように反動したかと思うと、急にスピードを落としはじめ、アクセルが効かない状態へ。
慌ててブレーキを踏むがブレーキも全く反応しない。
カーブの多い山道のパリ・ハイウェイ。「下りのカーブが来る前に何とかしなくては!」と焦る。
私はとっさの判断で山側の側壁に車をこすりつけ、減速させる。なんとか車は停車したようだ。
時間は午前0時過ぎ。焦る気持ちを抑えてエンジンを再度かけようとキーを回すが、キュルキュルと音がするだけでかからない。
深夜に車外にでることは危険だが仕方がない。周りに人がいないことを確認し、外にでる。車の側面は酷いありさまだ。
深夜のパリ・ハイウェイは静まりかえり一台の車も通らない。心細くなった私は妻に電話をかけ事情を話す。
すると妻から意外な一言
「あなた豚肉を積んでない?」
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ホノルルのダウンタウンからカイルア方面へ抜ける高速道路パリ・ハイウェイ。
ここにはロコでは知らない人がいない有名な言い伝えがある。それは
夜中に豚肉を積んでパリ・ハイウェイを走ると車が故障する
との言い伝え。
このヌアヌ周辺は1795年にカメハメハがハワイ統一をかけた最後の戦いがあった場所。
「カレレ カアナエの戦い」とも呼ばれるこの戦いで、カラニクープレ率いるオアフ島軍は追い詰められ、このヌアヌパリの断崖から多くの兵士が落とされ、また自ら飛び降りた場所である。
(実際に1897年のオールド・パリ・ロードの工事の際、800の頭蓋骨が発掘されている)
この故事からハワイアンの戦士が車を止めるとなったわけだが、なぜ豚肉なんだろうか?
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豚肉は当時、大変貴重な御馳走で男性しか食べることは許されず、女性は食べただけで死刑になったそうだ。
そのため貴重な豚肉を載せているとハワイアンの戦士が豚肉を求めて車を止めるとなったそうである。
ただし他にも、かつてハワイアンはこの道を通るとき、道端の祭壇に豚肉をお供えする慣習があったそうだ。
この慣習は先ほどの戦いの故事とは無関係のようで、道中の安全祈願の意味で合ったらしい。
なので、先ほどの「戦士が豚肉を求める」という言い伝えは、この2つの故事と慣習が混ざったとも考えらえるそうだ。
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そういう結論に至ったとはいえ、深夜にパリ・ハイウェイを通らざるを得ない時は、オアフ島を死守しようとして亡くなった英霊に敬意をもって走るように心がけたい。
そして豚肉は載せて走らないようにもしたい。信じる人が多くなれば伝説から現実になる場合もありますので。。。
(※最初の事故の話はフィクションなので、心配してくださった方すいません。)
【参考文献】『ミステリアスハワイ』森出じゅん著
一夜一冊:本日の本『東西不思議物語』
今夜、共に過ごすのは澁澤龍彦の『東西不思議物語』。
昭和文学界にその名を残す怪人、澁澤龍彦。フランス文学者にして評論家、小説家。
博覧強記の澁澤が世界各地の伝説・怪異について書いたエッセイ49篇をまとめたのがこの『東西不思議物語』である。
「鬼神を扱う魔法博士のこと」から始まるエッセイは、「未来を占う鏡」、「口をきく人形」、「天女の接吻」、「キツネを使う妖術」などなど扱う事象は多岐に渡る。
そして驚嘆すべきは古今東西の様々な事象を引っ張り出してきては比較紹介するというその博学!
今でこそ、ネットで様々なことを瞬時に調べることが可能だが、昭和の時代にこれだけの妖異な話を一冊でまとめて読むことができたのは感動であった。
わたくし、ノブヨシ少年が中学時代に初めて本書に触れたときのショックは今でも忘れれない。
澁澤龍彦のせいで、私は民俗学そして日本宗教学と2つの大学を卒業する羽目になった。
そして私にいくら勉強しても到底追いつけない知の巨人(彼の場合は知の怪人)がいるということを教えてくれたのが澁澤であった。
21世紀の現代でも色褪せない澁澤のエッセイ、機会があればぜひ手にとって見てください。
それではハワイも夜が更けてきましたのでこのへんで。
みなさん良い週末を。